

家族全員で楽しむことができる算数のゲームは、子どもたちの学習をサポートしながら、家族のきずなを深める絶好のツールです。今回は、家族で楽しめる算数ゲームをいくつか紹介します。これらのゲームは、楽しみながら算数の基礎を学ぶだけでなく、家族全員が一緒に過ごす時間をより充実させてくれます。
ぜひチャレンジしてみてくださいね。
形探しゲームは、周囲の物から特定の形を探し出すというシンプルなゲームです。このゲームは、子どもたちが平面図形や立体図形の基本的な概念を楽しく学ぶのに最適です。家のなかや公園で形を探し、図形の名前を覚えたり、形状や大きさを比較したりすることで、図形への理解が深まります。また、親子や友達どうしで一緒に形を探すことで、自然とコミュニケーションが増え、きずなを強める効果も期待できます。
1.探す形と制限時間を決める
まず審判が、探す形と制限時間を決めます。形は、たとえば「正方形」「三角形」などです。制限時間は、「1分」「3分」などです。
2.形を探す
プレーヤーは、指定された形に似た物を周囲から探します。形を見つけたら、カメラでその物の写真を撮ります。
3.結果を確認する
制限時間が過ぎたら、プレーヤーは見つけた形を順番に発表します。発見した形が指定された形に合うかを審判が評価して、1点から5点までの点数をつけます。点数のもっとも高いプレーヤーが勝ちです。次のような項目で評価するとゲーム性が高まるでしょう。
・正確さ…指定された形とどれだけ似ているか
・ユニークさ…ほかのプレーヤーとどれだけ異なる物を見つけられたか
1.お母さんが「1分以内に円の形を見つけよう!」と決めます。
2.プレーヤーの3人は、家のなかで円の形をした物を探して写真を撮ります。
3.お父さんは「時計の文字盤」、太郎さんは「椅子(いす)の脚の底」、花子さんは「コップを持ち上げたときにできる影」と発表します。お母さんは「お父さんはきれいな形を見つけたから3点、太郎は意外なところから見つけたから4点、花子はおもしろいところから見つけたから5点!」などと点数をつけます。この場合は、花子さんが勝ちです。
1人で1つを見つけるだけでなく、以下のようなアレンジをすることで、よりおもしろくすることができます。
・発表数の制限の変更
カメラで撮影した写真を何枚発表してもよいルールにします。こうすると、指定の形をたくさん見つけることで点数が高くなります。それでも正確さやユニークさが重要であることは変わらず、1つの発見で大逆転する可能性があるので、ゲーム性が高まるでしょう。
・チーム戦
数人で協力し合って指定の形を探したり、複数の物を組み合わせて指定の形を作ったりするなど、楽しみ方が広がります。みんなでいろいろなくふうができると盛り上がりますね。
日常のなかにある形に注目すると同時に、ふだん気づかないようなことも発見できるおもしろいゲームです。形の指定や制限時間の設定をしっかりすることがポイントです。
時間合わせゲームは、ストップウォッチやタイマーを使って、時間の読み方や計算を練習するゲームです。あらかじめ決められた時間にピッタリと止めることをめざすシンプルで楽しい遊びです。時間の感覚を養うとともに、時間の計算を通して、日常生活で役立つ実践的なスキルを身につけることができます。
1.目標時間を設定する
まずプレーヤーの1人が、目標となる時間を設定します。たとえば「10秒」「20秒」「30秒」などです。
2.時間を計測する
プレーヤーは、目を閉じてストップウォッチをスタートさせます。設定した目標時間に達したと思ったらストップウォッチを止めます。
3.結果を確認する
ストップウォッチを見て、設定した目標時間に誰がもっとも近かったかを確認します。目標時間との違いが何秒だったか計算し、その値のもっとも小さいプレーヤーが勝ちです。
1.お父さんが目標時間を「15秒」に設定しました。
2.プレーヤーの3人は目を閉じて、それぞれ15秒だと思った瞬間にストップウォッチを止めます。
3.お父さんが「14.8秒」、お母さんが「15.3秒」、太郎さんが「14.9秒」でした。15秒との違いは、お父さんが0.2秒、お母さんが0.3秒、太郎さんが0.1秒となります。この場合は、太郎さんが勝ちです。
時間を測るだけでなく、以下のようなアレンジをすることで、よりおもしろくすることができます。
・複数ラウンド制
ラウンドごとに目標時間を変えて、合計時間で勝敗を決めるルールにします。たとえば、「5秒」「10秒」「30秒」「1分」の4ラウンドにすることが考えられます。5秒や10秒は目標時間との違いが小さいですが、30秒や1分は目標時間との違いが大きくなるので、最後に大逆転が起こりやすくなり、ゲーム性が高まります。
・チーム戦
みんなで時間を合計して目標時間をめざすことで、時間に対する意識が高まります。3人合計で「1分」をめざすという目標を立て、1人につき10秒以上は計測するというルールが考えられます。たとえば、お父さん、お母さん、太郎さんの順番で測るとします。お父さんが「22秒」、お母さんが「19秒」だったとすると、太郎さんは、まず残り時間を計算する必要がありますね。1分は60秒で、2人の合計は22+19=41(秒)だから、残りは60-41=19(秒)だということがわかります。
計測した時間を整数でとらえるか小数でとらえるかによって、ゲームの難易度を調整することもできます。シンプルなルールで誰でも楽しめるので、ぜひ家族で遊んでみてください。
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計算カードゲームは、計算の速さと正確さを競うエキサイティングなゲームです。各プレーヤーがカードを引き、できあがった式を計算する遊びです。このゲームでは、子どもたちは加減乗除をすばやく正しく行うスキルを身につけることができます。また、対戦形式であるため、競争心を刺激し、集中力や反射神経も鍛えることができます。家族全員が参加することで、勝負の楽しさと学習の効果を同時に得られるのが魅力です。
1.カードを引く
数字カードと記号カードをそれぞれシャッフルし、2つの山を作ります。あらかじめ順番を決めておき、順番が回ってきたプレーヤーは、数字カードの山から2枚、記号カードの山から1枚を引き、審判に渡します。
2.カードにしたがって計算する
審判は、受け取ったカードを並べて計算式を作ります。プレーヤーはそれぞれ計算し、計算結果をメモ用紙に書いて審判に見せます。記号が「÷」の場合、あまりも含めて答えるようにしましょう。
3.結果を確認する
審判が採点し、もっとも速く正しい答えを出せたプレーヤーに1点がつきます。10ラウンドが終わった時点で点数のもっとも高いプレーヤーが勝ちです。
1.2つの山から太郎さんがカードを引いて、お母さんに渡します。太郎さんが引いたカードは、数字カードが「12」「18」、記号カードが「÷」でした。
2.お母さんは左から「18」「÷」「12」と並べました。太郎さんと花子さんは計算を開始します。しばらくして太郎さんが「1あまり6」と書いたメモ用紙をお母さんに見せました。お母さんは「正解!」と言いました。
3.太郎さんに1点が入ります。これをあと9回繰り返します。すると、太郎さんが6点、花子さんが4点になりました。この場合は、太郎さんが勝ちです。
・制限時間の設定
各ラウンドに「30秒」や「1分」などの制限時間を設け、よりスピードを重視したルールにします。このとき、もっとも速くなくても制限時間内に正解できたら0.5点を与えるなど、点数の設定を変えることも可能です。
・計算式の調整
カードを引く枚数について、数字カードを3枚、記号カードを2枚に変更します。すると、より複雑な計算を求められることになります。その際は、「÷」をあまりのある計算ではなく小数や分数で答えるルールにしましょう。また、用意する記号カードを3枚ずつなどに増やすこともおすすめです。
計算カードゲームは、加減乗除の速さや正確さを向上させるだけでなく、対戦形式で行うことで集中力や反射神経を鍛えられる点が魅力です。家族や友達と一緒に楽しみながら学べるので、ぜひ試してみてください。
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数当てゲームは、プレーヤーの1人が頭のなかで考えた数を、ほかの人が質問することによって推測するゲームです。家族全員ですぐに始められる手軽で楽しい遊びです。このゲームは、数の性質の理解を深めることに役立ち、とくに「偶数」「奇数」「倍数」「約数」「素数」といった概念を学ぶのに適しています。家族で楽しみながら、論理的思考力や質問力を養うことができるため、子どもたちにとって有益な学習ツールとなります。
1.数の範囲と役割を決める
まずプレーヤー全員で、対象となる整数の範囲を決めます。たとえば「1から20まで」「1から50まで」などです。範囲が広くなるほど難易度が上がります。また、出題者を1人決め、そのほかのプレーヤーは解答者となります。
2.解答者が出題者に質問する
出題者は、はじめに決めた範囲のなかから数を1つ選びます。解答者は、「はい」か「いいえ」で答えられるような数の性質に関する質問を最大5回まで行えます。たとえば「偶数ですか?」「素数ですか?」「10以上ですか?」などです。解答者は質問を通して出題者が考えた数を絞り込みます。
3.結果を確認する
出題者が考えた数を、解答者が5回以内の質問で当てることができれば、解答者の勝ちです。当てられなかったときは、出題者の勝ちとなります。
1.太郎さんが出題者、花子さんが解答者となって、2人でゲームをします。範囲は「1から20まで」です。
2.太郎さんが数を1つ選び、花子さんが5回以内で質問をしていきます。
●1回め
花子さん「素数ですか?」
太郎さん「はい」
※数は、2、3、5、7、11、13、17、19に絞られます。
●2回め
花子さん「2桁の数ですか?」
太郎さん「はい」
※数は、11、13、17、19に絞られます。
●3回め
花子さん「一の位の数から十の位の数を引いた差は3より大きいですか?」
太郎さん「いいえ」
※数は、11、13に絞られます。
●4回め
花子さん「十の位の数と一の位の数は同じですか?」
太郎さん「いいえ」
※数は、13に絞られます。
●5回め(解答)
花子さん「選んだ数は13ですね!」
太郎さん「正解!」
3.この場合は、5回めで太郎さんが選んだ数を当てられたので、花子さんの勝ちとなります。
・条件の変更
質問回数の増減や、数の範囲の増減で難易度を調整できます。また、正解するまでの質問の回数に応じて点数をつけて、複数ラウンド制にするルールも考えられます。
・チーム戦
プレーヤーが3人以上の場合、解答者が全員で協力して質問を考えるルールにします。チームで質問や解答を相談することでより楽しく考えることができます。
単なる推測ではなく、数の性質について考えながら進めていくので学習効果の高いゲームです。より効率的な質問を検討する流れができてくると、さらに楽しめるでしょう。
いかがだったでしょうか?
これらの算数ゲームは、学習と楽しさを両立させることに適しています。家族全員が一緒に過ごす時間を有意義にし、子どもたちにとっては学習の楽しさを発見するきっかけになります。どのゲームも算数の基礎をしっかりと学べるとともに、家族のきずなを深める効果も期待できます。
これらのゲームを活用して、家族全員が一緒に学んで成長する、すばらしい機会を設けましょう。
古山 竜司
大阪府生まれ。九州大学大学院卒業(芸術工学)。数学検定1級(数理技能検定)、英語検定準1級、数学コーチャープロA級ライセンス取得、ビジネス数学講師。「数学・算数を通じて人々を幸せにする」を使命に大阪府高槻市にマスラボを開業。またYouTuberとしても5,000本の動画を配信し、チャンネル登録者も15,000人達成。著書に「これだけ微分積分」「これだけ微分方程式」(いずれも秀和システム)など。
算数・数学塾「マスラボ」
サイトURL:https://furuyaman.com/
古山 竜司(ふるやま りゅうじ)
大阪府生まれ。九州大学大学院卒業(芸術工学)。数学検定1級(数理技能検定)、英語検定準1級、数学コーチャープロA級ライセンス取得、ビジネス数学講師。「数学・算数を通じて人々を幸せにする」を使命に大阪府高槻市にマスラボを開業。またYouTuberとしても5,000本の動画を配信し、チャンネル登録者も15,000人達成。著書に「これだけ微分積分」「これだけ微分方程式」(いずれも秀和システム)など。 算数・数学塾「マスラボ」https://furuyaman.com