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トイレやお風呂で使う水の量は牛乳パック何本分?家のなかのかさの単位

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生活のなかには、算数がたくさん隠れています。その隠れた算数に「気づく」ことが算数や生活について理解を深めることにつながります。算数でつまずきやすい単元に「かさ」があります。「かさ」とはものの大きさや分量のことで、dL(デシリットル)、mL(ミリリットル)、L(リットル)などの単位で表すことができます。
かさの単位をしっかりと理解するために、生活のなかで体感しながら学んでいきましょう。

家のなかにはどんな「1L」がある?

まず、生活のなかでよく使う単位について考えてみましょう。たとえば、家庭でよく使われる牛乳パック1本分はちょうど1Lです。牛乳パックを見ると「内容量1000mL」と書かれています。つまり、1L=1000mLということですね。身のまわりにどんな「1L」や「1000mL」があるか、子どもと一緒に探してみましょう。食用油や調味料などにも表示があるので、キッチンでたくさん見つかるかもしれませんね。たくさん見つかると、かさの単位が身近なものだということが伝わるでしょう。 


牛乳パック1本分ってどのくらい?

単位について確認できたら、1Lとはどのような量なのか体感してみましょう。牛乳パック1本分を紙コップに入れてみましょう。一般的に市販されている紙コップの容量は200mLです。牛乳パック1本分は1L=1000mLなので、1000÷200=5(杯)となります。また、1dL=100mLなので、紙コップの容量200mLは2dLと同じです。このことから、10÷2=5(杯)と考えてもよいですね。計算だけでなく実際に牛乳を移すことで、牛乳パック1本分は紙コップ5杯分だということが実感できるでしょう。


トイレの水は牛乳パック何本分?

L、mL、dLが理解できたら、次はトイレに行きましょう。一般の家庭でトイレに使用する水の割合は約20%といわれます。最近のトイレでは1回流すのに約4L、20年くらい前までは約13〜20Lの水を使っていたそうです。先ほどの1Lの牛乳パックでおきかえると、20本分使っていたのが4本分になったわけです。このことを、トイレの水を流しながら子どもに伝えてみましょう。何気なく使っているトイレにもかさの単位が関係していることがわかります。また、節水や技術に興味をもつきっかけになるかもしれませんね。 


お風呂の浴槽に入る水を牛乳パックでおきかえると…

トイレの他に家のなかで水を使っているところはどこでしょうか。家のなかで大量に使われている水といえば、そう「お風呂」ですね。大きさにもよりますが、お風呂の浴槽では、200L〜250Lの水が使用されます。牛乳パックでおきかえると200本〜250本分です。牛乳パックでおきかえることにより、浴槽の水の多さを実感することができます。浴槽の水を使ってもなかなかなくならないのは、それだけの量が浴槽に入っているからなんですね。


水道料金を調べてみよう!

トイレやお風呂など家のなかでは多くの水を使いますが、水を使うのは無料ではありませんよね。水道料金がかかります。水道料金は1Lあたりの金額ではなく、1m3(立方メートル)あたりの金額となります。1m3というのは、縦、横、高さがそれぞれ1mの立方体のかさ(体積)のことです。巨大なサイコロですね。そのサイコロのなかに入る水の量はなんと1000Lです。つまり、1m3=1000Lということです。この水道料金は、住んでいる町によって変わります。あなたの住んでいる町は1m3あたりどれくらいの水道料金がかかるでしょうか?

それでは、具体的に水道料金を調べてみましょう。1m3あたりの水道料金が200円だとすると、1000Lで200円ですから、1Lあたりの水道料金は200÷1000=0.2(円)となります。たとえば、お風呂の浴槽は200Lなので、0.2×200=40(円)かかりますね。40円だと安いなと思うかもしれませんが、毎日お風呂に入ると、1か月で40×30=1200(円)になります。これは、浴槽の水だけなので、シャワーなどで使う水は含まれていません。どうですか? 高いと思いますか? それとも安いですか?


このように、家のなかでいろいろなかさを調べて料金を計算すると、単位量あたりの大きさを使う考え方が身に付きます。計算機を使ってもよいので、子どもと一緒にどんどん計算してみましょう。実際の水道料金は基本料金と従量料金で構成されているので、慣れてきたらそういったことも一緒に考えられるとよいですね。


生活のなかには、算数・数学を体感できることがたくさんあります。身近な体験をすることは、子どもの興味や好奇心を刺激していくことでしょう。暗記したことはしばらくすると忘れてしまいがちですが、体感して覚えたことは頭のなかに記憶として定着します。算数・数学が自分たちの身近にあると感じながら学ぶことが大切です。 子どもと一緒に体感しながら算数・数学を学びましょう!


(本記事は、情報誌「マスマスプラス」56号の掲載記事の一部を再編集したものです)



/media/古山 竜司(ふるやま りゅうじ)

古山 竜司

大阪府生まれ。九州大学大学院卒業(芸術工学)。数学検定1級(数理技能検定)、英語検定準1級、数学コーチャープロA級ライセンス取得、ビジネス数学講師。「数学・算数を通じて人々を幸せにする」を使命に大阪府高槻市にマスラボを開業。またYouTuberとしても5,000本の動画を配信し、チャンネル登録者も1万人達成。著書に「これだけ微分積分」「これだけ微分方程式」(いずれも秀和システム)など。

算数・数学塾「マスラボ」
サイトURL:http://furuyaman.com/

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