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毎日を賢く暮らすコツは? 流行するサブスクの裏側をのぞいてみた!

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ここ数年で大流行している「サブスクリプション(通称サブスク)」。音楽や動画の配信サービスからファッションレンタル、化粧品、そして近年は旅をテーマにしたサブスクなどさまざまな分野に広がっています。

そんな当たり前に使っているサブスクですが、中身やそのメリットをあまり知らずに使い続けていませんか?

そこで、今回はサブスクを日本国内へ浸透させる活動を行っている日本サブスクリプションビジネス振興会にインタビュー。サブスクリプションの魅力から賢い使い方までお話いただきました。

賢い消費ならサブスク!?サブスクリプションってどんなもの?

本日お話をうかがうのは、日本サブスクリプションビジネス振興会理事で、スタークス株式会社代表取締役の上ノ山慎哉さんです。

本日はどうぞよろしくお願いします!

上ノ山:

よろしくお願いします。

ーー今回は、サブスクについてお話しいただきたいと考えています。まずサブスクリプションとは、一体どのようなものでしょうか?

上ノ山:

サブスクリプションとは、お客さまとの定期的な取り引きによって売り上げが安定するビジネスモデルのことです。今までは商品を売って終わりの「フロー型」が主流でしたが、フロー型の場合は売ることがゴールになってしまい、お客さまの声に耳を傾けたり、製品の改善をしたりといった対応に手が回らないことがあります。一方で「ストック型」といわれるサブスクリプションは、長く使ってもらうことで利益が出るしくみのため、売ることはスタートでしかなく、利用中のサービス改善やお客さまサポートに力を入れられます。

実際にサブスクは動画配信からファッション、化粧品、最近は車の貸し出しまで、さまざまな分野で使われ始めていますね。

ーーその他にはどのような分野でサブスクリプションが利用されていますか?

たとえば「HafH(ハフ)」(※日本サブスクリプションビジネス大賞2021グランプリ)という旅のサブスクでは、サービス内で獲得できるコインを使って全国の宿泊施設へ旅ができますし、オーダーメイドシャンプーの「MEDULLA(メデュラ)」(※日本サブスクリプションビジネス大賞2021ブロンス賞)は、オンライン上のカウンセリングにより1人ひとりに合ったシャンプーを自宅に届けてくれます。

上記以外にも、高額な商品でもいきなり高い金額を払って購入するのではなく、少額の月額課金からお試しで使ってみることができるなど、サブスクを利用することで“賢い消費”ができるようになるのは大きなメリットだと考えています。

ーー“賢い消費”について、もっとくわしく教えてください!

上ノ山:

たとえば、自動車のサブスクによって「買う」「レンタカーを借りる」以外に「月額契約で自動車を持つ」という新たな選択肢が生まれました。自動車の維持には保険代や車検代以外に駐車場代、燃料代などたくさんの手間や出費が発生しますよね。それに一度買ってしまうとライフスタイルに合わせて買い替えたり手放したりすることが難しい場合があります。とくに自動車は車種によってリセールバリューが違うため、手放す際に損をすることもあるんです。

それを防ぐという意味でも、使いたいときにだけ使えるサブスクはとても賢い選択肢だと思います。最近は私たちの生活も変化しているので、今までのような「人や物を運ぶための自動車」だけでなく「運転を楽しむための自動車」といった使い方など「自分にいちばん合う、賢い選択をしたい」というニーズに応えるサービスがどんどん生まれています。

長く使い続けることで、売り手も買い手も満足できる

ーーそもそも、サブスクリプションとはどのようなしくみで成り立っているのでしょうか?

上ノ山:

サブスクリプションはお客さまとの継続的な取り引きによって成り立っているため、品質や運営の判断基準として「LTV(ライフ・タイム・バリュー)」を重視しています。LTVをかみ砕くと「お客さまがサービス利用開始から終了までの期間で得られる利益」のことですね。お客さまからの意見をもとに商品の改善を続けることでLTVを高めていくわけです。また、継続的な取り引きは、LTVを高めることにつながると同時に、売り手側の利益の安定にも関わっています。

たとえば、あるサービスの提供について、フロー型とストック型の利益を比較することを考えてみましょう。

フロー型について、たとえば750円のサービスを毎月売りながら1年間続けるとします。毎月新しいお客さまを開拓しながら750×12=9000で、年間9,000円の売り上げになるわけです。このとき、顧客獲得コストとして300円、毎月の運用コストとして100円がかかるとすると、利益は(750ー300ー100)×12=4200で、年間4,200円となります。

これをストック型で考えてみましょう。ストック型の場合、売り切りではないので価格を下げることが可能になります。たとえば先ほどと同じサービスを月額500円で売って1年間使ってもらうとしましょう。年間の売り上げは500×12=6000で、6,000円ですよね。フロー型と違い顧客獲得コストは初月のみですので、初月の利益が100円で、翌月以降は運用コストのみをひいた400円が利益となります。よって、利益は100+400×11=4500で、年間4,500円となります。サブスクリプションの場合でも、長く使ってもらえればきちんと利益が出るわけですね。

もちろん、サービスの内容によって利益の計算はまちまちですが、たとえば車や家電のような高価なサブスクでも成り立つしくみになっているのです。

ーーなるほど。サブスクリプションは、長く使ってもらうことで成り立つしくみなんですね。

上ノ山:

その一方で、サブスクリプションにはすぐに解約されてしまうとビジネスとして成り立ちにくい側面があります。そのため、つねにお客さまの声を聞いてサービスや商品を改善し続けること、良さや魅力を伝え続けていくことが大切です。解約理由も改善につなげ、お客さまが長く使えるようにすることで、結果として提供者側も長くサービスを続けられることになります。サブスクリプションは、売り手と買い手それぞれが納得してサービスを利用できるビジネスモデルなんです。

子育て世代の毎日をちょっと賢くするサブスクって?

ーー日本サブスクリプションビジネス振興会は毎年「日本サブスクリプションビジネス大賞」を開催しています。そのなかから読者である子育て世代のみなさんに向けて、おすすめのサブスクを教えてください。

上ノ山:

まず、玩具のレンタルサービス「トイサブ!」がおすすめです。トイサブ!は、日本サブスクリプションビジネス大賞2019でグランプリを受賞した、子どもの成長に合わせた知育玩具やおもちゃが定期的に届くサブスクリプション・レンタルサービスです。

玩具やおもちゃは子どもの成長に応じて使う商品が変わってくるので、一度買ってもしばらくしたら使わなくなってしまい、もったいないですよね。

https://toysub.net/

 「トイサブ!」を使うことで玩具やおもちゃを無理に買う必要も捨てる必要もなく、子どもの成長に合ったものを手に入れることができるので、理にかなったサービスだと思っています。玩具やおもちゃは「トイサブ!」に返却して再利用されるので環境にも優しいサービスですね。

また、保育園で紙おむつが使い放題になる日本初のサブスク「手ぶら登園」もおすすめです。「手ぶら登園」も日本サブスクリプションビジネス大賞2020でグランプリを受賞したサービスで、保育園で紙おむつとおしり拭きが使い放題になる日本初*のサブスクです。現在は1,980施設以上で導入されています。

※:2019年当時、BABYJOB調べ

https://tebura-touen.com/

 家事に育児に忙しいなか毎日おむつに名前を書いて保育園に持っていくのはたいへんですし、登園時は保護者自身の荷物だってありますからね。おむつとおしり拭きが施設に直接届くだけで荷物も手間も減らすことができますし、合理的なサービスだと思います。

ーーどのサービスも、新たなアイデアで生活を合理的かつ豊かにしてくれそうです。最後に、サブスクを賢く選ぶためのアドバイスをお願いします!

上ノ山:

口コミをしっかり確認するとよいと思います。サブスクは、売り切りの商品よりもリアルな口コミが集まりやすい傾向にあります。それをチェックすることが「本当によいサービスかどうか」を判断する基準になると思います。

それにサブスクには「高い金額を払って買ったのに失敗した」というリスクがあまりありません。初月無料などのサービスも多いため、気になったら試しに使ってみても良いのではないかと思います。

今までは「本当に使うかどうかわからないままお金を払って購入する」という、買う側がリスクをとる消費のスタイルでしたが、サブスクリプションは「長く使ってもらえるかわからない状態でサービスを提供する」という、売る側がリスクをとるスタイルなんです。さらに、最近では使ってみるまでのハードルを極力下げるために「1か月無料」や「1週間無料」のキャンペーンを行う企業が増えています。そのため、お客さまは「無料で試してみて、違ったらやめる」という選択をすることができます。

消費者が「損をするかもしれない」というリスクをとらずに試すことができるのがサブスクの利点なので、気になるサービスがあれば気軽に使ってみてはいかがでしょうか。

ーー上ノ山さん、貴重なお話をありがとうございました!


今回は、日本サブスクリプションビジネス振興会の上ノ山さんに、サブスクの仕組みや魅力、賢い使い方をお話しいただきました。ぜひみなさんもふだん使っているサブスクを見直したり、新しいサブスクに挑戦したりしてみてはいかがでしょうか。

/media/ひとふり編集部

ひとふり編集部

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