数学のチカラで日常をちょっと賢く、もっと楽しく

少ない数の服でコーディネートじょうずになろう!

  • 場合の数
  • 組み合わせ
  • 樹形図
  • 豆知識
  • 時短
アイキャッチ画像
目次


少ない服で最大限のコーディネートをしてファッションを楽しみたいですよね。そんなときに役に立つのが、手持ちの服を整理してパターンの数を考える方法です。今ある服で何通りのコーディネートができるかを知るだけで、おしゃれの効率がぐっと上がります。


手持ちのアイテムでできるパターンの数を考えよう

まずは配色のバランスなどを気にせず、手持ちのアイテムで何通りのパターンができるか考えてみましょう。たとえば、手持ちのアイテムが次のような種類だったとします。

【トップス】赤チェックシャツ、白Tシャツ、黒トレーナー、青ストライプシャツ

【ボトムス】デニム、白パンツ、黒パンツ

【シューズ】スニーカー、サンダル

このとき、トップスに赤チェックシャツを選んだ場合、それに合わせるボトムスは、デニム、白パンツ、黒パンツの3通りがあります。そして、トップスとボトムスの組み合わせに対して、シューズは、スニーカー、サンダルの2通りずつあるので、トップスに赤チェックシャツを選んだ場合のパターンは6通りとなります。

同じように、トップスに白Tシャツ、黒トレーナー、青ストライプシャツを選んだ場合も、それぞれ6通りのパターンがあります。つまり、トップス4着、ボトムス3着、シューズ2足でのパターンは、6+6+6+6=24通りとなります。

バランスを気にせずにパターンの数を考えるのであれば、このアイテムで24通りできるので、約3週間は毎日違うコーディネートができます。何にでも合わせることが可能な服をセレクトすれば、この数でも十分に計画的なパターンが作れそうです。


コーディネートのためにはセンスのよさが大事!

しかし、どんな服とも相性のよい万能なアイテムだけでそろえるのはたいへんですし、やはりセンスのよい組み合わせでコーディネートをしたいですよね。たとえば、トップスとボトムスの色が重ならないようなコーディネートを考えてみましょう。シューズは、どんなアイテムでも合わせられるとします。

今度は、ボトムスから考えていきましょう。ボトムスにデニムを選んだ場合、トップスはどれでも合うので4通り、シューズは2通りあるので、パターンは8通りとなります。


次に、ボトムスに白パンツを選んだ場合は、トップスは同色の白Tシャツ以外になるので3通り、シューズは2通りあるので、パターンは6通りとなります。



同じように、ボトムスに黒パンツを選んだ場合も、トップスは同色の黒トレーナー以外の3通りになるので、6通りのパターンとなります。

バランスやセンスのよさを求めてコーディネートをすると、先ほどと手持ちのアイテムは同じですが、8+6+6=20通りのパターンとなることがわかります。



小物を追加してさらにおしゃれじょうずに

このように、手持ちのアイテムでどのくらいのコーディネートができるかをあらかじめ求めておくことで、1か月分のレパートリーを考えられるので時短につながります。また、パターンの求め方を知っておけば、それを応用して手持ちのアイテムの数を効率的に決めることもできます。

さらに、トップス、ボトムス、シューズ以外にも、スカーフやアクセサリー、帽子、ベルトなどの小物を加えることで、パターンの数を増やすことができます。たとえば、先ほどのセンスのよさを気にしたコーディネートにスカーフ1枚を加える場合、スカーフを「する」か「しない」かの2通りが加わるので、パターンは20通り×2=40通りとなりますね。ここに帽子1個を加えれば、また「する」「しない」の2通りが加わるので、パターンは40通り×2=80通りにもなります。

おしゃれ上級者であれば、スカーフの巻き方を変えると、さらにバリエーションが広がります。ワンピースやジャケットなども加えて、アイテムの種類のベストな比率などを紹介しているファッションページを参考にすれば、失敗が少なくコーディネートを楽しめそうです。


パターンの数を知れば時短につながり無駄を省ける

 今回は服のコーディネートのお話でしたが、この考え方はさまざまな場面で使えます。たとえば、アイスクリームショップで3段重ねのアイスクリームを食べるときに、30種類のなかから選べるとすると、何通りの選び方があるでしょうか。同じ種類の味が含まれてもOKと考えると、なんと27,000通りもあります。1年を365日として全通りを制覇しようとすると、27000÷365=73.97となるので、毎日食べても約74年もかかります。他にも、冷蔵庫の残り物で作れる料理の組み合わせや、目的地までの経路の組み合わせなど、アイデア次第で役立つ場面はたくさんあります。

今回使った図は、樹木のように枝分かれをしている図なので「樹形図」といいます。何通りの組み合わせができるかを考えるときに樹形図を用いると、数え忘れたり重複したりすることなく数えることができます。パターンの数を知ることで、時短につながり無駄を省くことができます。ぜひ、みなさんの日常に生かしてみてください。



【参考文献】

篠崎菜穂子『はたらく数学 25の「仕事」でわかる、本当の数学の使われ方』日本実業出版社(2015年)



篠崎 菜穂子

フリーアナウンサー/数学コミュニケーター/数学シニアインストラクター。東京都生まれ。日本大学理工学部数学科卒業。横浜国立大学大学院先進実践学環社会データサイエンス修士課程修了(学術)。中学高校数学教員免許、幼児さんすうインストラクター、算数シニアインストラクターなど、多数の資格を取得。数学関係のアナウンサーの仕事のほか、数学講座やワークショップ、執筆など幅広く活動している。著書に『はたらく数学 25 の「仕事」でわかる、数学の本当の使われ方」(日本実業出版社)ほか。

篠崎菜穂子の数学情報サイト 「How to enjoy math」
サイトURL:https://www.enjoy-math.com/

  • ホーム
  • コラム
  • 少ない数の服でコーディネートじょうずになろう!