算数・数学の能力を鍛えるパズル・ゲームを紹介。向上の秘密は「悔しさ」!?
この冬休みは「子どもが算数を好きになるための、きっかけづくりに」「家族みんなで楽しく、ちょっとした学習にもなる時間を過ごすために」、パズル・ゲームで遊んでみませんか?
今回は教育関連書籍や知育玩具の開発・販売を手がける幻冬舎エデュケーション局のみなさんにインタビュー。ゲームで遊ぶことによる学びへの効果から、おすすめのパズル・ゲームについてお話しいただきました。
遊びで数学好きになる!?その理由は?
本日お話をうかがうのは、幻冬舎エデュケーション局の福島栄子さん、佐藤有希さん、鷲谷草詩さんの3人です。よろしくお願いいたします!
福島、佐藤、鷲谷:
よろしくお願いします。
ーー今回は算数・数学教育に関するパズル・ゲームについてお話しいただきたいと考えていますが、まず算数・数学とほかの教科の違いについて、どのように考えていますか?
佐藤:
いわゆる「知育教育」と呼ばれる分野がありますが、そのなかでも算数・数学は「思考力」が重要になっていると思います。算数・数学には、答えを出すために論理的に考えて、実際に計算して……という過程が必要になります。おもにこの点が、国語や英語などほかの教科とは違うところではないでしょうか。
鷲谷:
とくにパズル・ゲームは、問題を解いたり、相手に勝ったりといった目的に向かって自分が今、どのように動くか?を考えます。たとえば、制限時間がある場合は「残り何分で、いつまでに何をして……」とか、ポイント制なら「勝つためには自分は今、何ポイントあって、あと何ポイントが必要で……」と考える必要があります。
私、実は数学があまり好きではないんですね。でも、パズル・ゲームに取り組むときはものすごく計算をしますし、頭のなかで勝つための確率を考えています。実際に、私が小さい頃に今回紹介する商品で遊んでいれば、少しは変わっていたかも?と思います(笑)
パズル・ゲームで味わう悔しさは、学びの原動力になる
ーー机に向かって学ぶこととの違いや影響は、どのようなところにあるのでしょうか。
鷲谷:
一番のポイントは「悔しさ」でしょうか。「このままでは負けてしまう」「今回は負けたけど、次こそは勝ちたい」。そんな悔しさがあることで、より「自分で考えよう」「学ぼう」と意欲が湧いてくるはず。
ゲームを通じて、家族や友達との関わり合いのなかでしか得られない感情に出合い、思考力を伸ばすチャンスにしてほしいですね。
実は、ゲームを考案される方には、もともと数学が得意ではなかった方もいらっしゃいます。それでも、小さいころからパズル・ゲームを通して数や図形にふれていたことで、結果的に数学が得意になるパターンもあります。
机で取り組む学びに苦手意識をもつ前に数や図形にふれておくことで、算数・数学を嫌いにならずに済む、好きになれる。それがパズル・ゲームの魅力だと思います。
鷲谷:
今回は、算数・数学が好きになるおすすめのゲームを3つご紹介しますので、ぜひこの冬休みにご家族みなさまで挑戦してみてください。
【対象年齢3~5歳】「幼児のパズル道場 ビルディング」
特徴
算数センス育成のための頭脳トレーニングプログラム「パズル道場」のメソッドをもとにつくられた、幼児向けのパズル教材。平面を立体に置き換えて考える力、立体の見え方をイメージする力、仮説を立てて検証する力などを身につけるトレーニングに最適。
また全60問の問題はだんだんと難易度が上がっていくしくみになっており、繰り返し取り組みながら1つひとつ成功体験を積み重ねていく過程で、粘り強く考える力を養えます。
遊び方
①付属の問題集から、難易度別に分類された問題を選択します。
②問題には一部のビルの高さと、特定の方向から見えるビルの数が示されています。
③その情報をもとにして、3×3マスの台のくぼみに、1階建て、2階建て、3階建てのビルに見立てたブロックを置きます。
④問題にある情報に一致するビルを建てたら正解です。
⑤問題のレベルが上がるにつれて、示される情報数が減っていきます。
担当者コメント
佐藤:
「パズル道場」さんの数あるメソッドのなかでも、ドリルやワークなど紙ベースのものではなく「立体」にこだわって商品化しました。
算数でもとくに立体の分野は「センスが必要」といわれますが、実際に物をさわって検証してみる経験がなければ、そのセンスも育まれません。平面にかかれた問題をもとに、ブロックをどこに置くべきかと仮説を立て、実際にブロックを置いて検証する。この過程を繰り返すことで養われる仮説検証力や粘り強さは、算数だけにとどまらずどの教科においても基礎となるものです。
小学校に入って算数にふれる前に基礎を築くためにも、ぜひ3〜5歳のお子さまに挑戦していただきたいパズルです。
価格 | 1,980円(本体1,800円+税10%) |
著者 | 山下 善徳(パズル道場 代表) 著 |
対象年齢 | 3~5歳 |
商品URL | https://www.gentosha-edu.co.jp/book/b586680.html |
【対象年齢6歳以上】「京大・東田式 頭がよくなる算数ゲーム」
特徴
京都大学 大学院で、日本初となるパズル学での博士号を取得された東田 大志さん考案の、算数に必要な力が楽しく身につく推理ゲーム。自分のカードの種類や「しつもんカード」に書かれた問いへの相手の答えをヒントに、隣の人のカード4枚を推理していきます。
相手の数字を推理するなかで、分析力や洞察力、論理的思考力、情報整理力など算数においてとても大切な力が育まれるゲームです。
遊び方
①1から4までの4種類×4色、計16枚のカードをプレイヤーに4枚ずつランダムに配ります。
②プレイヤーは自身のカードを確認したら、タテ2×ヨコ2の形に伏せて並べます。
③自分の番では、左隣の相手に「しつもんカードで質問をする」か相手の「数字カードを当てる」かができます。
③質問をする場合、左隣の人の数字カードの好きな列にしつもんカードを置きます。質問された左隣の人は、その列のカード2枚を確認し、回答チップを置いて答えます。
④質問をしながら推理をし、左隣の人の数字カード4枚を、いち早くすべて当てた人の勝ちです。
担当者コメント
佐藤:
考案者の東田さんはもともと勉強ばかりをしていたということではなく、小さいころからパズルやゲームが大好きだったそうです。ご自身が経験されたように、遊びながら論理的思考力や推理力を育むゲームをつくりたい、という思いでご考案いただきました。
たし算やひき算の要素が含まれ、また対面でコミュニケーションを取りながら進めていくゲームなので、6歳以上のお子さまでも楽しみやすいと思います。
またお子さまだけでなく大人まで楽しめるのも、このゲームの魅力の1つ。大人だけの場合は数字カードを増やしたりしつもんカードを減らしたりするなど、ルールを変えて難易度を上げるのもおすすめですよ。
価格 | 1,650円(本体1,500円+税10%) |
著者 | 東田 大志 考案 |
対象年齢 | 6歳以上 |
プレイ人数 | 2~4人以上 |
商品URL |
【対象年齢7歳以上】「ソロエタイル」
特徴
ゲームデザイナー ありしん(BEYOND GAMES)さんによる、プレイヤーどうしの駆け引きを楽しむ新感覚ゲーム。サイコロを振り、並べたタイルへのアクションを行いながら、問題カードにかかれた形をつくっていきます。
サイコロの目によってアクション回数が決まるため運が必要でありながら、相手の動きや戦略も踏まえて自分の手を考える力も求められるゲームです。
遊び方
①6×6 の枠に色や形が異なる35枚のタイルをボードに並べます。
②スタートプレイヤーを決めます。
③レベル1~3まである問題カードの山札から、2枚を選んで手札とします。
④1・2・3の出目があるダイスを振ってアクション回数を決めます。
⑤「リバース」「チェンジ」「ジャンプ」「スライド」の4つアクションを駆使して、問題カードに書かれた形を作ります。
⑥形が完成したら「ソロエタ!」と宣言して問題カードを出します。
⑦その形が正しければ、問題カードのレベルに応じた得点をもらえます。
⑧一番先に10点以上の点数を獲得した人が勝ちです。
担当者コメント
鷲谷:
このゲームは、ありしん(BEYOND GAMES)さんがご自身のおばあさまの認知症予防のために、数独やクロスワードなど1人で取り組むものではなく「みんなで遊べるゲームで脳トレができないか」と考えられたことをきっかけに生まれました。
何よりのポイントは、「非言語」によるゲームであること。ゲームのルールにまつわる情報は、サイコロの目やタイルの色・形、得点を表す数字など、すべて記号と数字だけで構成されています。お子さまもわかりやすく、大人もルールを説明しやすいシンプルなしくみだからこそ、幅広い年代の方に楽しんでいただけるのが魅力です。
検索しても答えが出てくるわけではない、対面でのコミュニケーションと駆け引き、相手の裏を読む思考力が求められるこのゲーム。ぜひふだんからデジタルゲームで遊んでいるお子さんに体験してみていただけたらうれしいですね。
価格 | 2,200円(本体2,000円+税10%) |
著者 | ありしん(BEYOND GAMES) 著 |
対象年齢 | 7歳以上 |
プレイ人数 | 2~4人 |
プレイ時間 | 15分 |
商品URL | https://www.gentosha-edu.co.jp/book/b587802.html |
パズル・ゲームを通じて、子どもと一緒に「学ぶ」
ーーゲームというと、最近ではアプリやオンラインゲームなど、デジタルのものの人気が高まっていますね。
鷲谷:
そうですね。デジタルのゲームはオンラインでいつでも誰とでも遊べるので、とにかく「楽」なんですよね。アナログの場合は、みんなで集まったり、ルールを説明したりと、とても手間がかかります。
ですが、手間をかけるからこそ生まれる体験や楽しみも絶対にあるはずです。ふだんなかなか会話しない相手とのコミュニケーションのきっかけになったり、ゲームを通して家族の意外な一面を知ったり。
佐藤:
場が盛り上がるのはもちろんのこと、ゲームの結果で気まずくなることまで含めて、その場の空気を共有できるのがアナログゲームならではの魅力ですね。真剣にゲームをするとふだんはみられない「顔」がみられて、とても楽しいですからね。
また子どもに「勉強させる」のではなく、みんなで一緒に挑戦することで、子どもが自分の力で成長していく様子を感じていただけると思います。
ーー幻冬舎エデュケーション局では「さあ、出発しよう。“知の冒険”へ。」をコンセプトに計算ドリルや知育パズル、そして絵本や書籍まで幅広く手がけられています。なかでも「ゲーム × “知”」のつながりをどのように考えていますか?
福島:
最近では、読み書きや計算といった数値で表せる能力だけではなく、想像力、集中力、そして忍耐力をはじめとした「非認知能力」を育むことこそが大切だといわれるようになりました。パズル・ゲームで遊ぶことを通して身につくのは、この“生きる力”にもつながる非認知能力ではないかと私たちは考えています。
ゲームを例に考えるとよい手を打つためには、相手の動きや戦略を考える集中力や思考力が必要です。親の手を借りずに自分で考えて、それを検証するということそのものが大切ではないでしょうか。
今回は、幻冬舎エデュケーション局のみなさんにパズル・ゲームの魅力と、家族で楽しめる商品をご紹介いただきました。この冬休みは算数や数学が関わるパズル・ゲームを楽しみながら、数学的な見方・考え方を育んでみませんか?
ひとふり編集部
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